読みもの
卒論インタビュー―ラジオと人々の生活―
2022.09.28
インタビュアー:O(文芸学部マスコミュニケーション学科2年)
インタビュイー:Y(文芸学部マスコミュニケーション学科4年)
1 現代の文化としてのラジオ
O:卒業論文を読ませていただきました。タイトルが「ラジオの今を見つめ直す―ラジオ聴取の変容と生活への関わり」となっていますが、なぜこのテーマに設定したのですか。
Y:以前からよくラジオは衰退していると言われていると思うのですが、その割には、私の周りでは結構ラジオの話題が出る印象がありました。それで若い人もよく聞いてるのではないかと思うようになり、ラジオの衰退を最初は研究しようと思いました。その後書いていくうちにラジオがどのように習慣化していったのかという流れと、ラジオとSNSの関係性に注目して、研究を始めました。
O:研究対象にSNSを組み合わせたのは、今っぽくて面白いですね。
2 知らない魅力を探る
O:ラジオは若干敷居が高い印象があります。Yさんにとっては、ラジオが身近な存在なのですね。
Y:そうですね。時々聞きますが、毎週欠かさず聴いている番組があるわけではありません。
O:他に何かラジオとの面白いエピソードはありますか。
Y:以前放送部に所属していた際に、ある大会に出場することになりました。そのとき私は、ラジオドキュメントを担当することになり、そのディレクターを務めました。
O:すごい!楽しそうです。
Y:ただ、ディレクターをしたときのように卒業論文を書く前は、深い理由もなく漠然とラジオというメディアが好きなだけでした。知らない音楽などに偶然出会えることがラジオの良さだと思っていました。
O:既に良い点を見つけられてるとは思いますが、卒業論文を書き始めてから変わったのですか。
Y:変わりました。卒業論文を書き始めてからは、ラジオをよく聴く人はどういった理由で惹きつけられるのかを自分の中で考えていましたが、あるとき人と人との距離を近付けることのできるメディアだと分かりました。
O:研究を進めていく中で、以前は知らなかった魅力があるメディアだと気が付いたのですね。
Y:そこからさらにラジオが好きになりました。
3 人々とラジオ
O:読んでいて「人」がテーマの中心となっていると感じました。
Y:そうですね。幅広い年齢層の方にお話を聞くことができました。
O:調査対象者はどのようにして選んだのですか。
Y:年代だけでなく性別もバラバラにしたいと思っていたので、あまり偏りのないようにしました。人数を増やした方が、面白いエピソードが出て卒業論文に良い影響があるかと期待したので、出来る限り多くの知り合いに声をかけました。
O:大学生の卒業論文となると、どうしても同世代である大学生の回答者が増えてしまいそうです……。
Y:確かに、20代の先輩にも聞きました。でも重要だったのは私たちの親の世代ですね。これは、深夜放送や1960年代のラジオの全盛期も卒業論文で扱ったからです。
O:私も読んだときに、インタビュイーの方々が聞いているラジオ番組の幅が広かったので、非常にバランスがいいと感じました。インタビューの時は、何か工夫したことがあったのでしょうか。
Y:そうですね。相手の考えが出やすくなるように意識をしていました。相手の考えをまとめる手伝いをするイメージです。
4 卒業論文について
O:途中で論文の方向性を変えたとのことでしたが大丈夫でしたか……?
Y:全体の流れが出来上がったうえでインタビューをしたので、それまで書いた内容と大きく変わったわけではなくて、まとめの部分がはっきりしたという感じでした。
O:それほど焦らずにできたということですね。
Y:時期的にも間に合うと確信していましたし、振り返ってみればそれほど大きな変更ではなかったということもあるかもしれません。逆に、自分が書きたいものが決まって、安心できたので良かったと思います。
O:結果的に良い方向に進むことができたのはよかったです。
Y:でも、興味のあるテーマにするということと、計画的にコツコツ進めるということを、後輩たちにはアドバイスしたいです。書いていくうちに書きたい内容が変わることもあると思うので、余裕を持って取り組むのが一番いいと思います。
O:なるほど……。参考にします。
Y:卒業論文を書き終えた今は、非常に達成感があります。これまで自分がやってきたことを、自分の人生の一部として卒業論文という形で残せたのがよかったと思います。自分の人生にとって思い出という形になっているという気がします。