読みもの

卒論インタビュー―理想の家族像を考える―

2022.09.23

アイキャッチ画像(https://tower.jp/article/feature_item/2021/07/06/0705)2022年9月28日取得。

インタビュアー:O(文芸学部マスコミュニケーション学科2年)

インタビュイー:T(文芸学部マスコミュニケーション学科4年)

 

1 ハンバートハンバートというテーマときっかけ

 

O:卒業論文を読ませていただきました。タイトルが「現実主義社会で描く理想の家族像とはーハンバートハンバートの姿を通じてー」となっていますが、なぜこのテーマに設定したのでしょうか。

T:先輩から卒業論文のテーマは興味のあることにしないと辛いよって言われていました。それで自分が好きなアイドルなど色々考えたのですが、マスコミュニケーション学科の卒業論文で取り上げることとして、家族とか社会とかと繋がりがあった方がいいかなあと思ったからです。「ハンバートハンバートと家族」というテーマは2年生の終わりぐらいからなんとなく考えていて、文献や資料を集めていたので、それがそのまま卒業論文になったっていう感じですね。

O:ハンバートハンバートとはどのようなアーティストなのでしょうか。

T:1998年結成で、佐藤良成さんと佐野遊穂さんのお二人で活動されています。テレビCMにも起用されたことがあります。お二人は夫婦で、三人のお子さんもいらっしゃいます。その家族仲の良さも魅力の一つだと思います。1

O:実際のご夫婦なのですね。いつ頃から好きなのですか。

T:高校生の時にラジオを聴いて知りましたが、音楽だけではなく、夫婦であるお二人が持つ空気感も好きな理由です。

 

 

2 家族の理想像について考える

 

O:Tさんはハンバートハンバートに理想の家族像を見出しているということですね。

T:そうです。見ていると癒されるというか、明るい気持ちになります。

O:でも、実際はそれほど簡単な話ではないですよね。

T:それは卒業論文中でも述べました。無償労働に男女格差があることもそうですし、男性の育児休暇の取得率が低いことには、制度が整っているけれども周りの人が認めてくれなかったり、「男が育休なんて……」という固定観念が含まれていたりすることが挙げられると思っています。

O:これには私も共感しました。こういうことをなくしていくために、どういう取り組みが必要だと思いますか。

T:家事を主にやっている人―――例えばお母さんやおばあちゃんとか、やる側はやって「あげてる」感じがするけど、やってもらっている側って何をやってもらっているかは分かりにくいところがあると思うので、気が付きにくい家事もあるということを、やっていない側に知ってもらうということが大事だと思います。

O:私も感謝しようと思います……。

T:特に家庭というのは、現実が理想に追い付かないのはよくあることかもしれません。

O:この論文のなかでは「現実」、「理想」、「幻想」がキーワードになっていますが、Tさんにとっての「現実と理想と幻想の家庭像」について教えてください。

T:例えば自分や友達が結婚して家庭を作ったら…という想像で話すと、現実は卒業論文の中でも取り上げたように、女性のキャリアが結婚によって変わる一方で、男性は変わらない可能性が高いなと思っています。

O:そういうものなのでしょうか。

T:就職活動をしたら分かると思うのですが、家庭と仕事を両立できるようにサポートしてくれる企業は増えているし、実際に正社員のまま育休と産休を取る人は多いです。しかし、仕事によっては子育てしながら働くことは大変なことももあると思うので、働き続けながら家庭のこともやるというのは、難しいかもしれません。

O:会社での環境が整っていたとしても、それぞれの家庭の環境は様々ですからね。

T:日本だと働くことが第一にあって、家庭がその次という思い込みがあるかと思います。家庭があって、その次に仕事という意識で、余裕をもって家族と過ごす時間が増える社会になったらいいなと思います。

 

 

3 使えるものは使いまくれ

 

O:卒業論文ではかなり多くのインタビュー記事を取り上げられていましたね。

T:はい。50個ほど取り上げました。

O:大変でしたよね。どのように集めたのでしょうか。

T:大学のデータベースなどを使って新聞記事のインタビューを集めました。インターネットのインタビュー記事や公式ホームページも参考にして集めました。

O:データベース検索は、私もレポート作成時によく使っています。

T:他には、雑誌の記事は大宅壮一文庫2のデータベースに大学からアクセスできるので、そこでハンバートハンバートの記事を検索して出てきたデータをリストアップして、それを国立国会図書館で借りて、コピーして集めました。

O:インターネットをうまく活用したのですね。

T:非常に助かりました(笑)。卒論を執筆した2021年はコロナ禍の只中ではありましたが、国立国会図書館にも1回だけ行くことができました。

O:このような研究内容なら、ライブなどでのフィールドワークも良さそうです。

T:そうなんですよ……。コロナ禍という事情もありましたが、やってみたかったですね。でも、インタビューをはじめとして、意外にインターネットでできることも色々あると知ることができました。

 

 

4 卒業論文について

 

O:様々な工夫をされたのですね。

T:とにかく資料が多くて困ることはありませんよ。集められるだけ集めた方が充実した内容になるんじゃないかなと思います。

O:心得ておきます(笑)。

T:あとは就職活動との両立ですね。多くの人にとって両立はとても難しいと思うので、就職活動前までに資料集めをしたりテーマをぼんやりとでも決めておくといいかもしれません。終わったら、後は本格的な調査や執筆に取り組むようにすると楽だと思います。

O:就職活動……ドキドキします。

T:なんとかなりますよ(笑)。大学生活最後の課題として、好きなことを研究して書いて卒業できるっていうのは、とても良い思い出になりました。学生生活の締めくくりが卒業論文で良かったと思います。

O:私も頑張ります……。

T:まあ、どうにかなりますよ。頑張ってくださいね。

  1. 参考:ハンバートハンバート公式サイト(https://humberthumbert.net)。
  2. ジャーナリスト・作家である大宅壮一が生前に収集した雑誌コレクションを基礎に開かれた、雑誌を専門に扱う図書館。世田谷区八幡山にある。