エッセイ

ぐるぐるあいどるじんせい

2022.02.01

 つい先日、部屋にあるアルバムを整理しました。5冊からなるアルバムには隙間なく写真が入っています。そのうちのいくつかを取り出し、別の写真をいれました。いずれのアルバムにも自分や家族、友人は一切写っていません。どちらもジャニーズJr.(以下Jr.)の公式写真です。細かく言えば、取り出したそれは、“元”Jr.の写真になりますが。

 11歳の時たまたま見ていた番組で、あるJr.に惹かれてあれよあれよと応援するようになったのです。お年玉をチケット代に充て、お小遣いは写真やアイドル雑誌へと変わりました。ジャニーズJr.というと、最近では地上波の音楽番組に出演したり、バラエティー番組に出演したりと活動の幅は非常に様々であり、ジャニーズJr.チャンネルというYouTubeチャンネルでも定期的に動画を更新しています。つまりはふとしたときに目に入ることも少なくはないのです。

 しかし10年前、と数字にして震えますが、その当時は音楽番組に出演しても、デビューしたグループの背景としてのみで、流し見程度の視聴者の目には止まりません。そもそも地上波の番組では個人名が出されることはほとんどなく、数年間Jr.だけのバラエティー番組やドラマも放送されましたが、いずれも深夜枠であり、現在に比べて露出は非常に少なかったのです。

11歳のころから応援していたJr.は徐々に人気を集め、深夜枠の番組はレギュラー出演、深夜枠のドラマでは出演のみならず主演も果たすようになっていきました。Jr.内でユニットが組まれるようになるよりも前から、有名な海外ダンサーに見初められた子たちで構成されるユニットにも所属しており、デビューも充分視野に入っていました。といっても、盲目オタクの主観でしかないのですが。

次第にユニットが乱立していきましたが、その中でも、ユニットの移動はあれど無所属になることはなく、所属ユニット内でもセンターあるいは前列というかなり良い立ち位置でした。

しかし順調に活動が続いていた2018年3月、そのユニットが、突如として他のユニットには与えられている仕事をもらえなくなり、番組への出演や、アイドル雑誌への掲載がガクンと減ってしまいました。毎月六冊定期的な掲載があったものが、よくて一冊程度の掲載に留まりました。これに関しては様々な憶測がなされており、明確でかつ確実と言える理由はありません。そして同年11月、ユニットに所属していたJr.全員がジャニーズ事務所を退所することが明らかとなりました。

これまでJr.がジャニーズ事務所を退所してから芸能活動をすることは珍しくありませんでしたが、日の目を浴びることがほぼ不可能でした。しかし、応援していた彼らは芸能活動を全員で再開し、それぞれ活躍の場を掴んでいました。喜ばしいことであるはずにも関わらず、私は受け入れられずに応援もできませんでした。ジャニーズJr.としてデビューを追いかける彼が好きで、ジャニーズのアイドルとして存在しない彼は何者なのか分からなかったのです。ただ着実に新たなファンを獲得して、様々な作品に俳優として出演して活躍していることは耳に入っていました。でも、そんな彼を見てももう惹かれることはなかったですし、もはやもうJr.を応援することだけでなく、見ることさえもトラウマになっていました。

先日、舞台・ミュージカルをメインに活躍する俳優さんたちが集まる、とある大きなイベントに参加しました。ちなみにちゃんとお目当ての俳優さんがいたからではありますが、そこに応援していた彼もいました。そこでもうJr.ではない彼を嫌でも目の当たりにし、急にストンと何かが落ちて頭がスッキリしましたし、わざわざ気にかけていたのも馬鹿馬鹿しくなりました。自分でもよくわかりませんが、頭ではなく身体が理解でもしたのでしょうか。その日を境にJr.へのトラウマはなくなり、暇つぶし感覚でJr.が出演している番組を見るようになり、YouTubeチャンネルもチェックするようになりました。

その後はまるでお決まりかのように、気が付いたらあるJr.の公式写真を買い漁り、ライブに行き、数年前と同じようにデビューを夢見るJr.を追いかけていました。まるでデジャヴかのように、応援しているJr.はユニットに所属していて、ユニットの中では立ち位置は前のほうで、他のユニットに比べて仕事量は少なく、他のユニットが出してもらっているようなグッズはありません。あまりにもあの彼と重なりすぎて数年前が蘇らないと言ったらウソになりますが、今度こそという気持ちもあります。

歴史は繰り返すのでしょうか。たった20年ほどしか生きていないにも関わらず大げさかもしれませんが、そんなことを思いながら、新たに届いた写真を新しいアルバムにしまっているのでした。(K)