読みもの

卒論インタビュー_CDとストリーミング_

2021.07.05

インタビュアー:N

インタビュイー:―K―

1 テーマ決めのやり方

N:「CD」というモノに焦点を置いた卒論のテーマを設定したのはなぜですか。

―K―:元々私はストリーミングサービスをあんまり使ってなくて、CDを買うっていう体験とか、買う時に感じる「思い入れ」が好きだったの。それに対して自分と同じような人がいるのかとか、みんなはどういうことを考えてCD買っているんだろうっていうことは普段から疑問に思っていたことだったから、これをそのまま「卒論」にできるなって思ってこのテーマにしました。

N:最終的にテーマを決定したのはいつ頃ですか。

―K―:3年の演習始まってすぐくらいにテーマを決めて、そこから変わってないです。

2ストリーミングサービスとCDの違い

N:ストリーミングサービスを使い始めたのはいつ頃のことですか。

―K―:初めて使ったのが「Spotify」で、卒論を書いた頃の半年前くらいだったな。

それまでは曲をYouTubeで聴いていることはあったけど、好きな曲だったら大体CDを買っちゃう感じだった。Spotifyで聴き始めたきっかけは、学生のうちなら安いから今のうちに使ってみようっていう気になったからかな。

N:ストリーミングサービスを使い始めてから、CDを買ったり聴いたりする機会は減りましたか。

―K―:意外と併用できてます。最近知ったアーティストとか、ちょっと聴きたいくらいの人はストリーミングで聴いて、自分が買ったCDはウォークマンに入れて聴いてますね。ウォークマンって自分の好きな曲しか集まってないものが出来上がるじゃない。

N:僕もiPod持っているから分かります。

―K―:だから逆に、好きな曲しか詰まってないウォークマンとストリーミングで対比ができているような感じがしてどっちも併用して使っているかな。

N:なるほど。卒論の中に“CDを買う行為とか聴く行為が「非日常的」になっている”っていうところがあって。僕はそこがすごいびっくりしたと言うか、僕自身CDはよく買うし、僕にとっては日常だったので‥その言葉が出てきた時はどんな思いでしたか。

―K―:そうですね‥私もインタビューする前はそうは思ってなかったのね。でも、卒論の中でも「儀式化」って書いたんだけど、聴く時に一緒に歌詞カードを開いて、ちゃんと音楽だけ聴くっていうような。言われてみれば、自分もそういうことやっていて。何かもう、それをやっている時点で「非日常化」っていうか、「イベント」になっているんだなって言うのはその通りなのかもっていう感じだったな…

3「ライブ」や「フェス」の価値

N:“「コト」としての音楽体験がCDという「モノ」に求められるようになった”っていう記述もあったんですけど、「コト」としての音楽体験の一番根底にある「ライブ」とか「フェス」についてはどう考えていますか。

―K―:やっぱり今って「ライブ」の収益が、ガーッて右肩上がりになっていたりしていて、みんなそこを求めていると思うんですよね。「生」で見ることに対する魅力っていうのはこの先もずっとあると思うから。言ってみればCDって「ライブ」と「ストリーミングサービス」の間で結構中途半端な立ち位置だと思うけど…私は良いとこ取りなんじゃないくらいに思っているところもあって。ライブに行くとかレコードほど面倒臭くはないけど、サブスクほど気軽でもない。ちょうど真ん中っていう立ち位置は割と良いこともあるんじゃないかなって思ったりしています。

   ただ、ストリーミングって本当に便利だし。ストリーミングは日常に溶け込んだ最終形態だと思っているから。「身近」って意味では最強。

4インタビューについて

N:この卒論の中心になっているのは「インタビュー」だと思います。インタビューする時に大切にした点とか工夫した点はありますか。

―K―:インタビューがこの卒論の核だなっていうのは最初から思っていたので、色々心がけました。やり方は色々あるけど、私のインタビューでは何個か主軸になる質問を用意して、この質問したらどういう風に話広がっていくかなっていうのは一応予想しておきつつ、答えに対してさらにその場で追加の質問を聞いてって、話を掘り下げていくっていう「半構造化面接法」っていうのをやりました。

    私のインタビューは深く話を聞かないと成り立たない、卒論の役に立たないものになってしまう感じだったので、ちょっと食い下がるぐらいの感じでかなりしつこく聞くのは心がけていた。

   後は、相手の考え、本心を喋って欲しいから誘導尋問みたいにならないように心がけたかな。

N:膨大な量のインタビューを卒論にまとめる時はどのようなことを意識しましたか。

―K―:まとめる作業は卒論書く上で一番大変だった。6人全部バーっと文字起こしした後で、みんなが同じようなことを言っているところを要素として抜き出していった。その後に、この要素たちがどう絡み合っているのかを考えつつ流れを作ったっていう感じです。インタビューの項とか節の順番もかなり考えて、ギリギリで入れ替えたりして。誰のどんな発言を引っ張ってきたら良いかとかも考えました。

N:卒論のインタビューをする前にどのような準備をしましたか。

―K―:「プレインタビュー」をやりました。それはやって良かったなって思ってます。雑談ぐらいの感じで話をして、これはキーワードになるかもっていう言葉が出てきたりとか、逆にこれは意味ないかもっていうことが出てきたり、その中でかなり質問項目を練った感じですね。なので、インタビューをやる人はプレインタビューはやった方がいいかなって思います。

5「CD」の価値とは

N:卒論の内容に話を戻します。卒論を書いて改めて考える「CD」の価値は何ですか。

―K―:卒論には書いてないかもしれないんだけど、CDは「記憶」が宿るのが自分にとっては一番大きいなって思う。「はじめに」にも書いたと思うんだけど、高校生の時にわざわざ都内まで行って買いに行ったとか、ライブの日に買ったよなみたいな。そういうのってストリーミングじゃなかなかないと思うから、そういう体験はやっぱりCDじゃないとできないなっていうのが「非日常化」って言葉でストンと落ちた感じはしたな。

N:僕も読んでいてそう思いました。買いに行った時の思い出とか、CDを見たら思い出すこともありますよね。でもそれと同時に、曲を聴いて思い出すっていうこともよくあります。そういう思い出に残るっていうのは良いことだし、それが「モノ」として残るっていうのもすごい良いことだなって思います。

―K―:うんうん。

N:この卒論はKさん自身にとってどのような意味を持ちますか。

―K―:うーん…私の場合は2年間かけて1つの論文を、自分の手なり足なりを使って書き上げたっていうことは、自信にもなったと思うし、やっぱり達成感はあった。「やりきったぞ」って思える大きなことだなっていうのはあるな。あとは、インタビューはすごい楽しかったのね。普段知っている友達でも、どういうことを考えているのかっていうのを深く聞いたりしないから、そういうのが聞けたのは面白かった。

N:卒論を書いている時、楽しいなって思う瞬間はありましたか。

―K―:私は基本的に全部楽しかったかな。最後の追い込み以外は。自分の好きなこと書いているだけだから。

N:そうですか。楽しいって思えた理由は、興味があるものだったり、自分が好きなものをテーマに選んだからだと思いますか。。

―K―:だと思います!やっぱり興味がないことだとしんどいと思う。私は単純に自分が知りたいことでもあったから「この卒論っていう機会を使って調べよう」って感じだったのが楽しかったなって思います。

6後輩に向けてのアドバイス

N:3年生のうちに卒論を書くためにやっておいた方が良いことってありますか。

―K―:自分が興味あること、知りたいこととか、何となくやりたいなっていうテーマを早めに絞れていた方が楽だなって思います。私は普段から思っていることがテーマになったので、意外とそういうのもありだと思う。後々中身の密度も変わってくると思うから早めのテーマ決定はおすすめします。卒論ってテーマ絞ったほうが書きやすいしね。テーマが広いとやらなきゃいけないことが増えるし。「広く浅く」な卒論よりかは、「深く狭く」の卒論の方が絶対に書きやすいと思う。あと、個人的にはテーマは「マニアック」なテーマに絞っていた方がオリジナリティも出やすいし、面白い卒論になるんじゃないかなって思うな。

N:分かりました。僕も色んなものを見たり聴いたりして、自分なりのマニアックなテーマを考えたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

―K―:ありがとうございました。

(2021年2月19日 Zoomにて収録)

インタビューを終えて

 卒論を書くことは辛いものだと思っていた私は「卒論を書いていて“楽しい”と思った瞬間はありましたか」という質問をした。返ってきた答えは意外にも「基本的に楽しかったかな」「そんなに辛いって思ったことはなかったかな」というものだった。このような前向きな気持ちで卒論に取り組めたのはやはり、自分の好きなもの・興味があることをテーマに設定したからだろう。この部分のやり取りは非常に印象的なもので、自分の卒論に対するイメージが大きく変わった瞬間であった。私も楽しく卒論取り組めるようにしたいと思う。