読みもの
―週末ブンゲイ特別編—『おうちでアニメ三昧』
2020.12.25
こんにちはー!
タネイシに代わりまして、ヤマイです。いつもは「研究室360°」を担当しています。
昨今の情勢に伴い、週末ブンゲイは特別編をお送りしています。
おうちで楽しめる「学び」につながる様々なコンテンツを紹介するこの企画。
今回のテーマは「おうちでアニメ三昧」です。
さて!みなさんは、おうち時間をいかがお過ごしですか?
おうちで過ごさざるを得ない今、動画配信サービスを利用する時間が増えた人も多いのではないでしょうか。
最近『鬼滅の刃』(2019年)が大変な人気ですよね。みなさんもご覧になりましたか?
『鬼滅』の他にも、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(2019/2020年)や『僕のヒーローアカデミア』(2016/2017/2018/2019-2020年)などなど、マンガ/アニメ作品の人気は、留まるところを知らぬ勢いです。
そもそも、マンガやアニメといった括りでものを見るのは実はもうナンセンスで、物語やキャラクターを描くひとつの表現として考えたほうが、適切な時代が来ているのかもしれません。
とはいえ、マンガは読むけどアニメってあんまり観ないんだよね、というひとも多い気がします。
そんなあなたも!たまにはいつもと違う世界をのぞいてみませんか。せっかく、時間があるのだもの。
そこで!今回ご紹介するのは「日本アニメーション映画クラシックス」です。
これが何なのか、ざっくり言うならば、昔のアニメがタダで観れちゃうサイトです。
タケダくんが紹介していた青空文庫のアニメ版みたいなイメージでしょうか。
「Netflix」や「AmazonPrimeVideo」を紹介するんじゃないの?という声が聞こえてきそうですが、違います。
だって、アニメは1話から観ますよね。何をするにもまず最初からで遡った方がわかりやすく、おもしろいのです。
そもそも、アニメっていつから日本にあるか、ご存知ですか?
現存する日本最古のアニメーションは『なまくら刀』で、1917年に公開されたものです。
実は日本のアニメって、まだ100年とすこしの歴史しかない文化だったのです。
そして、2017年の日本のアニメ100周年にあわせて開設されたアーカイブサイトこそ、この日本アニメーション映画クラシックスなのです。
当然のようにリンクを貼ってしまいましたが、『なまくら刀』、そのリンク先で今すぐ観れるんです。すごい時代じゃないですか?
研究家の方々が長い年月をかけて発見された日本最古のアニメのフィルムを、今おうちで気軽に観賞できてしまう……!
四分と短尺です。早速、今観てみてください。
どうでしたか?
思っていたアニメとは違う印象でしたか? それとも意外とすんなり観賞できたでしょうか。
でも、痛いと星が飛んでいましたよね。今でも通じる表現が100年前からあったのって、ちょっと不思議な感覚です。
こんなように、このサイトでは1917年~1941年に公開された50作品以上のアニメーションが、WEB上で観賞できます。
「物語」や「アクション」といったカテゴリー検索の他、作家紹介ページからも作品を検索できます。「初心者向け」「上級者向け」「児童向け」といったランキングでも紹介されており、誰でも楽しめるつくりになっていますね。
『なまくら刀』から約半世紀後、1956年の東映動画(現・東映アニメーション)の設立によってはじめて、産業としてのアニメ制作が大々的に確立されたものとされています。
私たちになじみ深い30分尺のアニメ、いわゆるテレビアニメは『鉄腕アトム』(1963-1966年)以来のものです。
つまり、アニメは20世紀後半から半世紀ほどで一気に急成長した文化にして産業なのです。
しかし、その発展も20世紀前半に生み出された作品や技術あってのものです。
宮崎駿や高畑勲といった名監督を輩出し、『ドラゴンボール』(1986-1989年)や『ONE PIECE』(1999年-)『ふたりはプリキュア』(2004-2005年)などを制作する、前出の東映アニメーションは、元々、政岡憲三や山本早苗によって設立された、日本動画株式会社を母体としたスタジオです。
漫画の神様と呼ばれる手塚治虫は、戦時中、瀬尾光世の作ったアニメ映画を観て、その画面の美しさに涙したといいます。
(Ⓒ尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション)
そういった、日本アニメーションのルーツとも言うべきレジェンドたちの作品を、今こそ観賞してみてはいかがでしょうか。
『鬼滅の刃』を観ている人たちはたくさんいます。この自粛期間にも多くの人が観るでしょう。
でも、『鬼滅』を作っているufotalbeの代表の近藤光を輩出したテレコム・アニメーションフィルムを支えた大塚康生が初めて入社した日本動画株式会社を設立した政岡憲三の『マングワ 新猿蟹合戦』も観たぜって人はなかなかいないでしょう。しかし、時代はつながっているのです。
そういう人になってみてはいかがでしょうか。