文芸学部のこと

文芸のいろは マスコミュニケーション学科

2020.10.16

 (インタビューの実施日は2019年11月になります)

 「これまで」の自分と向き合って

――マスコミュニケーション学科を選んだ理由について、お聞かせください。

小林由果(以下、小林) 私はテレビ、雑誌、新聞とか大衆のメディアに興味があって、大学に入学するまではマスコミっていうと「マスメディア」のイメージが強かったんです。そのなかで、成城大学のマスコミュニケーション学科っていう文字に惹かれたのがきっかけでした。大学ホームページの学科紹介を見たときに、卒業論文のタイトルが載っていたんですけど、自分が関心を持っている「マスメディア」についての論文があって、こういう研究ができるんだと思ったので、マスコミュニケーション学科に行きたいなと思いました。

 マスメディアに関心を持ったきっかけは、一番身近にあったものだったからだと思います。家だと常にテレビがついていて話題の中心になっていたり、新聞がある空間にいたり…….。マスメディアに触れる機会は日常からあったなって思います。

蓮池有葉(以下、蓮池) 僕は雑誌が好きで、ファッション雑誌とか料理雑誌を読んで、書いてあることの真似をしたり参考にしていたんですけど、そういう情報を発信する人に憧れて、出版業界を目指そうと思っていました。それで、もともと理系だったところを文系に転向して、高校の先生に「マスコミ系でいい大学ありますか?」って聞いたら成城大学をおすすめされて、マスコミ科を受験しました。

 雑誌は具体的に言うと「BRUTUS」「POPEYE」「天然生活」みたいな生活雑誌を読んでました。あと僕オタクなんで「声優アニメディア」も読んでましたね。趣味から仕事に活かせたらなって思ったんですけど、マスコミュニケーション学科に入って講義を受けていくうちに考えが変わってきていて、今はマーケティングに興味を持っています。

 「マスコミュニケーション学科だから」得られる、無限の可能性

――次に、今研究しているテーマと、将来のことについてお聞かせください。

小林 大学に入ったときはマスメディアに興味があったんですけど、今所属しているゼミの先生が担当している、都市の歴史や構造に関する授業を受けていくうちに、自分が今まで考えたこともなかったような視点とか考えが出てきて、面白いなって思ったんです。それで、都市や空間に関することを調べてみたいなって思って、今はそのことについて研究しています。

 自分が研究していることと、社会人になってやりたいことは全く違います。都市空間についての研究はこれからも進めていこうと思っているんですけど、実際に就きたい仕事は航空系で、これも大学に入ってから新しく興味が湧いたことです。

 兄が就職して遠方に住むようになって、そこへ遊びに行く時に私も飛行機を使うことが多くなったのがきっかけで、「航空系っていいなぁ」って興味を持って、将来の仕事にしたいなって思いました。「実際に働いている人を見て、仕事を考える」っていう視点は大学生になってから意識し始めたものかなと思います。

蓮池 僕は秋葉原の都市空間、とりわけメイド喫茶について研究しています。もともとアニメやアイドルが好きで、秋葉原という場所に興味がありました。将来はマーケティングの仕事に就きたいなって思っているんですけど、秋葉原って「オタクが多い街」で「サブカルチャーにあふれている街」っていう特色があって、そこにいる人々の暮らしぶりがわかれば、いいイベントだったりモノを提案できるんじゃないかなって思ったんです。秋葉原は今世界中で認知されていて、そのなかで秋葉原のサブカルチャーを大きく占めているメイド喫茶にも海外の人がよく来るんです。だから、メイド喫茶って日本を世界に発信するための歯車になっているカルチャーだと思っていて、メイド喫茶について深く追求すれば、自分がやりたいマーケティングに結びつくかなって思っています。

 「秋葉原とかメイド喫茶の研究って人の役に立つのか?」っていう疑問はあるけど、僕は「人の役に立ちたいからこの研究をしたいんだな」って思っています。

――マスコミュニケーション学科の講義で印象に残っているものをお聞かせください。

蓮池 僕がマーケティングに興味を持つきっかけになった「マスコミ特殊講義Ⅳ(2018年度/マーケティング・コミュニケーション概論)」は面白かったです。「特殊講義」っていう名前の講義は外部の方が講義をしてくださるもので、高校までの授業とは違った実践的な内容なんです。「マスコミ特殊講義Ⅳ」だと、自分たちの親世代をターゲットにした飲料水のデザインを、名前・素材・ラベル・CM内容に至るまで考えて発表するもので、仕事に近いことを実践できたのがよかったなって思います。

 講義っていうと座学で、ペンを持って……みたいな堅苦しいイメージがあると思うんですけど、マスコミュニケーション学科の授業って「インタビューする」「フィールドワークをする」みたいな実践的なものが多くて、グループワークも多いので、他にも印象的な講義はたくさんありますね。

小林 「マスコミ特殊講義Ⅱ(2019年度/平成のジャーナリズム史)」という、元新聞記者の方が講師をされていた講義が印象に残っています。講師の方が実際に新聞記者として働いていたころは、新聞が市民にとって一番身近なメディアだったけど、今は新聞だけじゃなくて、SNSとかネットニュースなどのインターネットを用いたものが主流になっていることを受けて、インターネットで起こっている問題や事象について取り扱ってくださいました。例えば「やらせ問題」だったり「偽広告サイト」「Instagramでフォロワーを稼ぐ商法」みたいに、今の時代だからこそ起こる新しい被害について研究していました。私たちとは違う新聞記者としての視点からいろんなメディアについての比較をしてくださっていたので、とても面白かったです。

 「これから」のみんなに向けて

――最後に、マスコミュニケーション学科に興味のある人へ、ひとことお願いします。

小林 マスコミュニケーション学科は、他の学科にはない「今」を学べる機会が多いなって思います。私が研究している都市空間は日々変化するし、「マスコミ特殊講義Ⅱ」で学んだSNSに関しても今だからこそ成立している研究で、10年前だったら受講できないものだったんだなって思うと、社会のリアルタイムな状況を学ぶことができる学科だなって思います。

 あと、先生が教えたことを学生がメモして、っていう形式の講義だけじゃなくて、学生同士で議論をし合う授業が多いので、その分いろんな人の意見を吸収できて、「こういう考えもあるんだなぁ」っていう発見が多いです。「マスコミ」を専門に勉強する人だけじゃなくて、興味関心が定まってない人でもウェルカムっていう感じが、この学科のいいところだなって思っています。

蓮池 マスコミュニケーション学科って業界的に狭いイメージを持っていたり、入りづらいなって感じるかもしれないけど、僕は実際そうでもないかなって思います。ジャーナリズムに関する授業もあれば、インタビュー調査を行う授業もあって、実際はものすごく間口の広い学科なんです。だからこそ「今、社会に生きている人」にたくさん触れることができるし、そこから夢だったり、自分のやりたいことが見つかるようになるんだと思います。

 あと、学科内でやりたいことの転換が効きやすいのもいいところだなって思います。大学に入る前は雑誌に関する仕事をしたいなって思ってたけど、今は「マスコミだ」って言えるのかわからないマーケティングを仕事にしたいなって思ってるし、そう思わせてくれるような、柔軟な学科だなと思います。だから「マスコミ」だと怖がらないで、興味のままに入ってほしいなって思います。

小林 すごいね……。いいこというなぁ。

蓮池 常日頃から考えてるんで。

小林 すごい、素晴らしい……(拍手)。

 Topic インタビュアーのつぶやき

 マスコミュニケーション学科のおふたりにインタビューして感じたことは、この学科は自分の興味関心を掘り起こすような「可能性」に満ちあふれている場所だな、ということです。

 社会に存在する、あらゆる情報について扱うことができる学科だからこそ、自分が知りたいと思うこと、また今まで自分が知らなかったことにたくさん触れられる。その機会が、実際に現場で働いている、働いていた方からも得ることができるというのは、おふたりがインタビューの中で繰り返しおっしゃていたことでした。そういった機会を「学び」として結びつけられることも、マスコミュニケーション学科の、そして大学の魅力だと思います。

 意欲の分だけ、それを受け止める場所がある。だからこそ貪欲に、自分の興味関心を突き詰めていくことが大事なのだということを、おふたりとのインタビューを通じて、改めて認識させていただきました。