読みもの
―週末ブンゲイ特別編―『ボードゲームを知ろう』
2020.09.04
皆さんこんにちは。タムラと申します。
今の情勢に伴い、週末ブンゲイは特別編をお送りしています。
おうちで楽しめる「学び」につながる様々なコンテンツを紹介するこの企画。
今回のテーマは「ボードゲームを知ろう!」です。
外に出ることが出来ない今、皆さんは家の中でどのように過ごしていますか?
やることがなくなって暇という人も多いのではないでしょうか。
そんな時間を活用して家族でボードゲームを楽しんでみてはいかがですか?
ボードゲームとは特定のボード上で駒を動かしながらプレイするゲームのことを言います。
すごろくやオセロ、将棋、チェスが特に有名かと思います。
しかし、今回ご紹介するのはこういった一般的なものではなく、ボードゲーム大国・ドイツのゲームです。
ドイツのボードゲームは「ドイツゲーム」とも呼ばれ、ボードゲームの中でも少し独特なゲームになっています。
その独特な特徴とは大人から子供まで幅広い世代を対象にしていることと、運と技術の両方を必要としていることです。
他にも特徴はありますが、この2点が従来のボードゲームとは最も異なる点といえます。
こういった特徴を持ったボードゲームがドイツで生まれた背景は諸説ありますが、一説ではドイツでの家族と過ごす時間を多く取る習慣が関連しているとされていて、そういった習慣から家族全員で楽しめるようなボードゲームが発達したといわれています。
今回私がご紹介するのはそんなドイツゲームが世界に広がるきっかけになった「カタンの開拓者たち」というゲームです。
【カタンの開拓者たち】
このゲームはドイツゲームの中でも特に有名なボードゲームで、20か国以上で翻訳されており、様々な拡張版も発売されています。
4人用のこのゲームは各プレイヤーが5種の資材を使って無人島を開拓していき、他の人より早く10ポイントを目指すゲームです。
カタンの興味深い点はゲームを始める際、資材が描かれたタイルを並べてフィールドを作るので、毎回フィールドの構成が変わる点、サイコロの出目によっては自分の手番以外にも自分の土地から資源が算出できる点です。
そのため、一つの資材が同じ場所に偏ったり、出目の運によって入手できる資材が偏ることが多々あります。
その時にはほかのプレイヤーと交渉を行ったり、港を使って資材を交換することで資材を集め、開拓していきます。
こういった様々な要素を駆使しながらポイントを集めていきます。
このカタンの開拓者たちは発売初年度の1995年にドイツで大ヒットを記録すると、翌年にはオリジン賞というゲーム業界での大きな功績を称える賞の中の外国語翻訳ボードゲーム賞を受賞し、後のドイツゲームの世界的人気の火付け役となりました。
【ボードゲームの起源】
ここまではドイツゲームに関して紹介してきましたが、そもそも皆さんはボードゲームがとても歴史あるものということを知っているでしょうか?
実はボードゲームの起源は少なくとも紀元前3000年以前であるということが発掘品から判明しています。
これまでに発掘された中で最古のボードゲームは紀元前3500年頃から紀元前3100年頃の古代エジプトの遺跡で発掘されたセネトと呼ばれるもので、このセネトに類似するものは世界中で発見されており、このセネトは娯楽として各地に散らばりその姿を変え、最終的にはイギリスでバックギャモンと呼ばれるものになって現代まで続いていると考えられています。
また、セネト以外にも古代中国や中東、古代インドでも古くから娯楽としてボードゲームが遊ばれていました。
これらのものが姿を変えて現代での囲碁、将棋、チェス、オセロになったといわれています。
いかがでしょうか。
紀元前から脈々と続いてきたボードゲームの歴史を知って興味が出た人もいるのではないでしょうか?
私が今回紹介した「カタンの開拓者たち」の他にも面白いボードゲームがたくさんあります。
時間があるこの機会にぜひ、家族皆で遊んでみてはいかがですか?
参考高橋浩徳「ボードゲームの近現代史」『大城商業大学アミューズメント産業研究所紀要』 第20号(2018年6月)、119-181頁