読みもの
町とNew Me! 第2回 「東宝スタジオ」
2020.06.19
いつも通っている町なのに、そこには知らないことがたくさんある。
身近な町をもっと知れば、きっと自分の世界が広がるはず。
みなさん、こんにちは。えりかです。
学生の目線で、身近な町の知らない素顔を紹介していく連載「町とNew Me!」。毎回、町の魅力あるポイントをピックアップしていきます!(取材日:2019年10月17日)
第2回目にご紹介するのは、東宝スタジオ。第1回で紹介した通り、成城の成り立ちに深く関わっている、映画やドラマなどの撮影スタジオです。
成城の南側に位置する東宝スタジオでは、古くからたくさんの映画が撮影されてきました。
かの有名な『七人の侍』や『ゴジラ』シリーズ、最近では『劇場版コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―』もこの東宝スタジオで撮影されたそうです。
このスタジオは関係者以外立ち入り禁止なのですが、東宝スタジオの横を流れる仙川に沿って道があり、そこは誰でも歩くことができます。そこからは、スタジオを眺めて楽しむこともできるのです!
今回は幸運なことに成城の町と東宝映画について詳しい成城大学学生部の高田雅彦さんと、東宝スタジオの立松雄太郎さんにご協力していただくことができました。お二人のお話を伺いながら、東宝スタジオをご紹介していきます。
第1回のおさらいですが、東宝スタジオの始まりは1932年、前身である写真科学研究所(P.C.L.)が創立され、成城に本格的なトーキー専用スタジオを完成させたこと。
そして1943年、東宝映画と東京宝塚劇場が合併。社名が東宝株式会社と改められました。1971年には、映像事業部門や映画製作部門が分離されました。
(TM&Ⓒ TOHO CO.,LTD. Ⓒ2014 TOHO CO.,LTD.)
この壁画は、画家・壁画家の塙雅夫氏によって描かれ、2014年に完成しました。
スタジオ入り口にある映画『七人の侍』の壁画も、同じ作者によるものです。ぜひこのふたつの壁画、見に行ってみては?
現在、敷地全体の広さは約24,000坪あり、日本最大規模の撮影スタジオです。 撮影ステージはNo.3からNo.12まであり、一番古いものは1955年に完成したNo.8ステージとNo.9ステージ。このふたつは東宝スタジオ内でも最も大きいステージだそう。
映画『劇場版コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命-』のフェリーが座礁するシーンの撮影時には、車を数十台入れて撮影したそうです。いかに大きなステージなのかが想像できますね……。
撮影用ステージ以外にも、特殊メイクの工房や、小道具や大道具の倉庫といった施設もあります。
所蔵する小道具は年々増えており、現在はなんと約10万点!
新たに作るものもあれば、古いものを加工して作ることもあるそうです。
東宝スタジオは世界最高水準のポストプロダクション1の設備も整っており、効果音を収録するためのフォーリーステージもあります。
フォーリーステージ内にはあらゆる種類の床や扉が用意されている他、フォーリーブースという場所では生活音などの繊細な音を録音することも可能で、ここで再現できない効果音はない、というほど環境が整っているとのこと。
1、映画やドラマの撮影終了後に行われる、仕上げ作業。映像の編集や特殊効果、テロップ等の挿入や、映像に合わせ音楽・効果音・ナレーションなどを追加するMA(音声処理作業)を主とし、テレシネ、VFX(ビジュアル・エフェクト)や CG制作等も業務に含まれる。(一般社団法人日本ポストプロダクション協会ホームページ http://www.jppanet.or.jp/annai/annai-1.html より)
そして、かつてはポストプロダクションセンターにあり、『ゴジラ』の音楽制作でも使われたグランドピアノが、実は現在成城学園澤柳記念講堂のロビーにあるのです!
こんな知られざる話を聞くと、東宝スタジオがより身近に感じられますね。
東宝スタジオは、その長い歴史のなかに映画への愛が詰まっていることが感じられる場所でした。
続く第3回目は、成城5丁目にある旧猪俣邸についてご紹介します。
文化勲章を受章した建築家・吉田五十八氏の設計によるこの建築の魅力に迫ります。
建築に興味がある人も、そうでない人も必見です。次回もお楽しみに!
ご協力:
成城大学学生部 高田雅彦さま
東宝スタジオサービス 立松雄太郎さま